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2020.09.07

MUDA

FUKA MIYAJIMA

Planner

1時間電車に揺られている。
数少ない乗客たちは、1人残らずマスクをして、小さな画面を見ている。
私はボウっと、窓ガラスの向こうを眺める。

東京の景色はどこまでも灰色で、奥行きがないな。
イヤホンから、中学生の頃よく聴いていた BUMP OF CHICKEN の曲が流れる。
ふと、地元の風景を思い出す。

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就職を機に上京し早3年。
SPARKにプランナー・ディレクターとして配属してから、2年の歳月が過ぎた。
最近ようやく「垢抜けたね」「東京に染まったね」と、冗談混じり言われるようになったが、
24歳の私の人生はまだまだ、地元・北海道札幌市で過ごした日々で埋め尽くされている。

小さい頃、よく家族で車に乗って道内各所を周った。
北海道は広い。
車に乗る時間の方が、目的地にいる時間よりずっと長かった。
その無駄に長い時間の中、私は家族の会話にろくに参加せず、窓の外の景色をただ眺めていた。
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会話に参加しなかった理由は、喋るのが大の苦手だったから。
「頭の中にはこんなにあるのに! 言葉にしたら消えて無くなってしまう! 嫌だ!」
という己の我儘により、人生始まって早々、喋ることを辞退したのである。

とにかく、常に独りで考え事や妄想をするのが好きな子供だった。
小学校の休み時間も、みんながグラウンドへ走って行く中、1人残って教室で絵を描き続けた。
知らない先生に「君は外へ出ないの?」と言われて、うるさい、と思った。
小・中学校の同級生は、私の声を一度も聞いたことがない人がほとんどだった。
そのくらい、他の誰にも邪魔されない時間というものは、当時の私にとって、とても幸せで、すごく大切なものだった。
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家族でのドライブ。
車内でしりとりが繰り広げられる中、1人窓の外の景色を見ながら、空想の世界に入り込んだ。
あそこに建ってる家に生まれていたら、どんな生活が待っていたんだろう。とか
今、川を眺めていたあの人と、恋に落ちたらどうしよう。とか
現実味を帯びた妄想をするのが好きで、それはもしかしたら本当に、この身に起こるかもしれないと思った。
楽しくて楽しくて、このままずっと目的地に着かなければいい、と思った。

車内にはいつも音楽が流れていた。
私が家族と無関係に思えたのと同様、音楽も妄想とは無関係な様に思えて、いつの間にか己の思考の深く底にまで根付いた。
お父さんは The Beatles
お母さんは DREAMS COME TRUE
お兄ちゃんは BUMP OF CHICKEN が好きだった。
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東京で電車に揺られ、音楽を聴くと、そんな昔の記憶が鮮明に蘇る。
良いことも、悪いことも、カオスのように降り注ぐ。
そんな感情の嵐が過ぎ去ると、空っぽの灰色だと思っていた自分の中に、カラフルな宝物が一粒ポツンと跡を残る。
それは、必要だったんだと気付く。

私は、人に忘れていた感情を想起させられる様なものを作りたい。

と思いながら、今日もボウっと
ものすごく無駄な時間を、ありえないほど大切に過ごしている。
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おまけ。

高校生の頃に一度、美術館で絵に見惚れて、その場から動けなくなったことがありました。
すると私の後ろから、作者と名乗るお爺さんがやってきました。
お爺さんは制服を着た私に、色々な話をしてくださいました。
「良い作品を作るためには、良い音楽を聴きなさい」
お爺さんの顔や名前・作品の題名は覚えていませんが、
その凜とした佇まいと、目力の強い点描画の作品と、この言葉は、今でもハッキリと覚えています。

最後まで読んでくださった方、ありがとうございます!

次は、お笑いのお兄さん、井上さんです!